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技術ブログ

【WordPress】7.0 “Armstrong”で何が変わった?アップデートで気を付けることまとめ

2026.07.17

WordPress 実践シリーズ #07
WordPress 7.0 “Armstrong”
何が変わった? 何に気を付ける?
「メジャーアップデートして7になりました。何が変わりましたか。気を付けることはありますか?」──
AIの共通基盤・管理画面の刷新・アップグレード時の注意点を、公式一次情報ベースで総ざらいする

2026年5月20日、WordPress 7.0 “Armstrong” がリリースされました。コードネームはジャズの巨人 Louis “Satchmo” Armstrong から。875名を超えるコントリビューター(うち200名以上が初参加)が関わり、70以上の言語に翻訳された、2026年最初のメジャーリリースです。

本記事執筆時点(2026年7月)の最新は、7月9日に出たメンテナンスリリース 7.0.1。当ブログ(tech.jnome.jp)自体もすでに 7.0.1 で稼働しています。さらに7月15日には次期 7.1 の Beta 1 も公開され、開発サイクルは早くも次に進んでいます。

「6.x から 7.0 という数字のジャンプ」は身構えますが、結論から言うと正しく手順を踏めば怖いアップデートではありません。ただし、制作会社として押さえておくべき変更点と注意点がいくつかあります。順に見ていきましょう。

1. 「7.0」という数字の意味 ── 実は“普通の次のメジャー”

まず誤解しやすいポイントから。WordPressのバージョン番号は単純な連番で、「.9 の次は次の整数」に上がるだけです。5.9 → 6.0 のときと同じで、6.9(2025年12月)の次だから 7.0 になった、というのが番号の理屈です。「7.0だから互換性が全部壊れる」という意味はありません(セマンティックバージョニングではありません)。

とはいえ、今回の 7.0 は中身も大きいリリースでした。コアの Trac チケットは419件以上(機能強化76件超・バグ修正300件超)、エディタ(Gutenberg)側は機能強化411件・バグ修正486件以上が取り込まれています。

2025-12
WordPress 6.9 リリース(6.x系の最後)
2026-05-20
WordPress 7.0 “Armstrong” リリース
2026-07-09
7.0.1 メンテナンスリリース(現時点の最新安定版)
2026-07-15
7.1 Beta 1 公開(開発は次のサイクルへ)

2. 最大の目玉:AIの「共通土台」がコアに入った

7.0 の一番のニュースは、WordPress本体に「AIと話すための標準的な配線」が入ったことです。ポイントは3つあります。

2-1. AI Client ── プロバイダ非依存の共通窓口

新しい AI Client は、プラグインが生成AIモデルと通信するための共通インターフェースです。PHP側の入口は wp_ai_client_prompt() という関数で、テキスト・画像・音声・動画の生成に対応します。

これまでは「OpenAI連携プラグイン」「Claude連携プラグイン」…と、プラグインごとにバラバラのAPI実装を抱えていました。7.0からはプラグイン開発者は1つのAPIに向けて書けばよく、どのAIプロバイダを使うかはサイト側の設定で差し替えられるようになります。ブラウザの標準API的な発想です。

2-2. Abilities API ── 「このサイトができること」のカタログ

Abilities API は、サイト内の機能(ability)を登録・列挙するための仕組みです。サーバー側APIに加えてJavaScript版(@wordpress/core-abilities パッケージ)もあり、ナビゲーションやブロック挿入などの操作をAIやコマンドパレットから呼び出せるようにする土台になります。

2-3. Connectors(コネクター)画面 ── AI接続の一元管理

管理画面に、外部AIとの接続を一元管理する Connectors という画面が追加されました。プリセットが3つ用意され、独自の接続も追加できます。

誤解しないでほしい重要ポイント
7.0 で入ったのは「AI機能そのもの」ではなく「AIをつなぐための標準規格(配線)」です。文章生成・画像生成・altテキスト提案などの実際のAI機能は、別配布の公式AIプラグインを入れて初めて使えます。アップデートしただけで勝手にAIが動き出したり、コンテンツが外部AIに送信されたりすることはありません。クライアントへの説明でもここは明確に伝えられます。

3. 管理画面が変わった ── Modern配色とコマンドパレット

3-1. 新デフォルト配色「Modern」

管理画面のデフォルト配色が、長年の「Fresh」から新しい「Modern」に変わりました。ボタン・入力欄・通知・カード・メタボックスなどがブロックエディタのデザイン言語に揃えられ、ログイン画面のWordPressロゴも青からグレーになっています。画面遷移にはスライドのトランジション効果が付きました。

技術的に重要なのは、この刷新が「CSSのみの変更」だという点です。HTMLマークアップとJavaScriptは変更されておらず、既存のCSSクラス名も維持されています。つまり管理画面をカスタマイズしているプラグイン・テーマも「動かなくなる」ことは基本的にありません(見た目の馴染みは要確認。後述)。

3-2. コマンドパレットが管理画面全体で使える

これまでエディタ内だけだったコマンドパレットが、管理画面全体で ⌘K(Windowsは Ctrl+Kから呼び出せるようになりました。「新規投稿」「設定を開く」などをキーボードだけで実行できます。日常的に管理画面を触る制作者ほど恩恵が大きい機能です。

3-3. リビジョンが「見て分かる」ようになった

リビジョン(変更履歴)画面が刷新され、ヘッダーのタイムラインスライダーで版をスクラブ(なぞり見)できるようになりました。変更箇所は黄、削除は赤、追加は緑で色分け表示され、エディタから離れずに確認できます。「先週消えた段落を探す」作業が格段に楽になります。

4. エディタ・ブロックの進化

4-1. 新ブロック:パンくずリストとアイコン

ブロック 内容
Breadcrumbs(パンくずリスト) 階層ページ・タクソノミー・カスタム投稿タイプに対応した動的なパンくず。これまでプラグインやテーマの自作実装に頼っていた定番機能がコア入り
Icon(アイコン) 厳選コレクションから装飾アイコンを挿入。サーバーサイドのSVGアイコン登録APIが土台。サードパーティ製コレクションの追加は7.1で対応予定

4-2. デバイス別の表示・非表示コントロール

任意のブロックをデスクトップ/タブレット/モバイルの画面幅に応じて表示・非表示にできるようになりました。他のビューポートに影響を与えずに切り替えられます。これも今までは追加CSSやプラグインで実現していた定番要件です。Gridブロックも「列の最小幅」と「最大列数」を同時指定できるようになりました。

4-3. ブロック単位のカスタムCSS

ブロックの「高度な設定」パネルにカスタムCSS入力欄が追加されました。セレクタなしで宣言だけを書く方式で、edit_css 権限(通常は管理者のみ)でガードされています。

4-4. フォント管理ページ(クラシックテーマでも使える)

「外観」配下に専用のフォント管理ページが新設されました。注目すべきは対応範囲で、ブロックテーマだけでなくハイブリッド・クラシックテーマでも使えます。クラシックテーマ主体の現場でも、Webフォントの追加・管理をコア機能でまかなえる場面が増えます。

4-5. その他

  • メニューオーバーレイのカスタマイズ:ハンバーガーメニューの全画面オーバーレイを、ブロックとパターンで自由に組めるように
  • パターンの単体化:パターンが1つのユニットとして振る舞い、切り離し(detach)て個別制御も可能に

5. 開発者向けの新機能

機能 内容
PHPだけでブロック登録 'supports' => array( 'autoRegister' => true ) で、JavaScriptを書かずにサーバーサイド(PHP)だけでブロックとパターンを作成・自動登録できるように。PHP中心の受託制作には朗報
Interactivity API の watch() @wordpress/interactivity にシグナル監視の watch() 関数が追加
Block Bindings API の改良 パターンオーバーライドとの連携強化、属性ソースをフォーマットで絞り込み可能に
DataViews / DataForms Activityレイアウト・Detailsレイアウト追加、Field APIでサードパーティ型の登録が可能に
スクリプトモジュール依存 従来型スクリプトがESモジュールに依存できるように(スクリプトローダー強化)
コードエディタ更新 CodeMirrorをv5系最新に更新。構文チェッカーのEsprimaはEspreeに置き換わりES6対応に

6. 【重要】気を付けること ── 互換性チェックリスト

ここからが「気を付けることはありますか?」への直接回答です。影響の大きい順に並べます。

6-1. 最重要 最低PHPバージョンが7.4に上がった

WordPressコアの最低サポートPHPが 7.2.24 → 7.4.0 に引き上げられ、PHP 7.2 / 7.3 のサポートが完全に打ち切られました。

アップデート前に必ずサーバーのPHPバージョンを確認してください。PHP 7.3以下のサーバーでは 7.0 に上げられません。長期運用の保守案件ほど古いPHPが残りがちです。なお「最低7.4」はあくまで下限で、PHP 7.4自体もすでにセキュリティサポートが終了しているため、実運用では PHP 8.1 以上への引き上げを推奨します。レンタルサーバーならコントロールパネルのPHPバージョン切替を先に済ませてから本体を上げるのが安全な順序です。

6-2. 開発者向け カスタムブロックはBlock API v3準拠か

投稿エディタは、挿入されている全ブロックがBlock API version 3以上の場合にiframe化が強制されます。v3未満のブロックが混ざるとiframeが解除されて後方互換で動きますが、自作ブロックを持つ案件は7.0環境でエディタの表示・スタイルを一度実機確認してください。block.jsonapiVersion を3に上げるのが恒久対応です。

6-3. 開発者向け パターンは contentOnly が既定に

これまで内部ブロックを自由に編集できたパターンが、contentOnly モード(内容だけ編集可)が既定になりました。パターン内のブロックで編集させたい属性には、block.json"role": "content" の指定が必要です。パターンを多用したテーマ・プラグインは要確認です。

6-4. 運用 管理画面の見た目が変わる ── クライアントへ事前アナウンスを

技術的にはCSSのみの変更ですが、クライアントの目には「画面がガラッと変わった」と映ります。更新マニュアルのスクリーンショットも古くなります。保守契約先には「7.0で管理画面のデザインが新しくなります(機能・操作手順は同じです)」と一言添えておくと、問い合わせを未然に防げます。また、管理画面に独自CSSを当てているプラグイン・カスタマイズは、新配色とのコントラストや馴染みを一度確認してください。

6-5. 運用 細かいが効く変更

  • 新規ユーザー作成画面の既定ロール選択から「管理者」「編集者」が外れました(セキュリティ強化)。ユーザー登録手順をマニュアル化している場合は記述の更新を
  • マルチサイト:アカウントをスパム指定してもサイトが自動でスパム扱いされなくなりました。スパム連動処理を持つプラグインは挙動確認を
  • リアルタイム共同編集は7.0には入っていません。一部で予告されていましたが「現時点でコアに入れるには堅牢性が不十分」として見送られ、開発は継続中です

6-6. 安全なアップデート手順(定石の再確認)

# 定石:バックアップ → 検証 → プラグイン → 本体 の順
1. ファイル+DBのフルバックアップを取る
2. ステージング(検証環境)でPHPバージョンと7.0.1を先に試す
3. プラグイン・テーマを最新化(7.0対応版に)
4. 本体を 7.0.1 へ更新(7.0ではなく修正済みの7.0.1へ)
5. エディタ・フォーム・決済など主要動線を実機確認

7. クラシックテーマ運用の現場への影響

受託制作ではクラシックテーマ(PHPテンプレート方式)の案件が今も多数派です。7.0がその現場に与える影響を整理します。

観点 影響
クラシックテーマのサポート 継続。廃止の動きはなし。7.0でもクラシックテーマはそのまま動く
フォント管理 新しいFontsページはクラシックテーマでも利用可。恩恵あり
管理画面刷新 CSSのみ・クラス名維持のため、functions.phpの管理画面カスタマイズは原則そのまま動く(見た目の確認は推奨)
AI関連 入れなければ何も起きない。必要になったら公式AIプラグイン+Connectorsで後付け可能
急いでFSE移行すべき? No。7.0を理由にブロックテーマへ移行する必要はない。ただしPHPだけでブロックを作れるようになったので、「クラシックテーマ+部分的にブロック活用」の選択肢は広がった

8. まとめ ── お題への回答

Q1. WordPress 7.0で何が変わった?
→ 大きくは3つ。①AIの共通基盤(AI Client / Abilities API / Connectors)がコアに入った──ただし入ったのは「配線」で、AI機能自体は別プラグイン。②管理画面の刷新(Modern配色・コマンドパレット・ビジュアルリビジョン)。③エディタ強化(Breadcrumbs/Iconブロック、デバイス別表示制御、ブロック単位CSS、フォント管理ページ)。

Q2. 気を付けることは?
→ 技術面では ①最低PHPが7.4に上がった(実運用は8.1以上推奨)、②自作ブロックのAPI v3対応とiframeエディタでの表示確認③パターンのcontentOnly既定化"role": "content")。運用面では ④管理画面の見た目が変わることをクライアントに事前アナウンス、⑤新規ユーザー画面のロール選択変更。手順は定石どおり「バックアップ→ステージング検証→プラグイン→本体(7.0.1へ)」。

Q3. 数字が7になったこと自体は?
→ 6.9の次の連番であって、互換性破壊の宣言ではない。正しく手順を踏めば通常のメジャーアップデートと同じ感覚で上げられる

WordPressのメジャーアップデートは年2〜3回のペースで続きます。7.1はすでにBeta 1が出ており、アイコンコレクションの拡張やリアルタイム共同編集の続報が見込まれます。「上げる前にPHPと互換性、上げた後に主要動線」──この型さえ守れば、7.0時代も安心して運用できます。

参考リンク(一次情報)

※本記事はWordPress.org公式発表・公式ドキュメント・WordPress 7.0 Field Guideを基に作成しています(2026年7月17日時点)。バージョンや対応状況は変動するため、実施前に最新情報をご確認ください。

Seeds Brains
2026-07-17 作成